Blue Holiday

2011年11月28日月曜日

さよならSB



 『それは音楽ではありません』/私たちが子供の頃は/歌は空から降ってくるものでした

 こんな話を知っていますか/とある小さな南の島の国では/女性に名前がありません

 山の上で暮らす彼女は/初潮を迎えた次の朝/街の広場で歌います

 『それは音楽ではありません』

 今夜も男達は小さな箱に入っていきました/『僕が聞きたいのはもっと別の声なんだ』/『アメリカ、アメリカ、君はどこにいるの』

 (...この2つのショットを見て下さい。男と女が映っています。けれど、彼は知らなかったのでしょう。2人の違いを。)

2011年6月3日金曜日

忘れても、いいよ


僕がさよならと言って/君がおはよう!!と返事する/僕を包むように/脚を閉じる君/暗い部屋で/

目と目があう/手と手が触れる/同じ空の下にいる/同じ月を見ている/

今までどうして分らなかったのか

忘れても、いいよ

僕の涙は/君の涙/だったね


2010年11月12日金曜日

Breath


 私たちがまだ小さかった頃、夜中にベッドにもぐりこんで、呼吸の数を数えてたことがあったわね、これから100年生きて、一体何回こんなこと繰り返すんだろうって思ったら、突然息が吐けなくなって、背中がすっと冷たくなったこと、覚えてるかしら。

 それがはじめて体験した、私たちの時間だったと思うの。

 今ならわかるわ、息を吸って吐くまでの、瞬きの間に、全てのことは起こってしまうって。

 私たちがそのことに気がついたのは、ずいぶん遅かったわね、未熟だったのかしら。でもあの頃は、人生が永遠に続くと思ってた。だから代わりに、唄を覚えたの。

 本当に息を吸って吐くように唄うことなんて、彼にしか出来ないけれど、皆がそう憧れて、失敗を繰り返してきたこと、話すことは出来ると思う。そんなこともあったねって、いつかあなたに会ったらそう言って、笑ってくれるかしら。


2010年11月5日金曜日

心と体




たとえ汚辱にまみれても

あなたの体は私のものだから

もう心には、還らないで


2010年10月1日金曜日

today&today



今日を生きることしかできない、今日も、今日を生きることしかできない


2010年9月24日金曜日

観覧車に乗った日



空港に降りて市内に入るバスを捕まえる、真夜中を過ぎて道に霜が降りていた
半日遅れた便の出発を待ちながら、俺は一枚も写真をとらなかった、ただ手紙を書いていた

この小さな空港のレストランではアルバニア語を話す女しかいない

「会社からのサービスだ」
差し出されたコカ・コーラを飲みながら、男の台詞を思い出した

「私達の言葉を学ぼうとするあなたに敬意を表して英語は話さない」

少しも嬉しいわけじゃなかった、それでも俺は泣いた、今は必死なんだ、こんな二度と会わない他人が分るくらい、俺は必死なんだ、そう分ったから俺は泣いた

残りの客と反対の道を歩きながら、東京に電話をした、今は朝だろう、おかしいぜ、初めてこの街に来た気がするんだ

2010年8月21日土曜日

いましかない


不必要な重みと体積を伴った本が机に置かれていなかったら、僕は何かをしようとは思わなかったろう

過去と現在を上手に繋いでストーリー・テリングをこなすことが出来なくなってしまって眠れなくなった次の日に、
本屋で見た『HIP The HISTORY』と『New Horizons in Jazz Research』を見てすぐに気付いた、
今の俺にはエクリチュールが欠けている
すぐに近くを歩いていた後輩を捕まえて、HIP っていうのは今この瞬間にイケてるかイケてないかを最重要の関心事に据えて世界と対峙するアティチュードだって嘯いた

沈黙は罪だ、まったく個人的な意味を背負いながら

植草甚一さんの『僕がすきな外国の変わった漫画家たち』、僕にはこうしたおじさんはいない気がする、友達しかいない
ドナルド・バーセルミの『帰れ、カリガリ博士』『死父』、いつか高橋源一郎が紹介していたバーセルミの絵本が読みたい
藤井貞和さんの『詩的分析』、ジョン・ファンテの『塵に訊け!』、『中平卓馬の写真論』
そういえばピート・ハミルの『ボクサー』は原宿の Tokyo-Hipsters-Club で買ったんだったな、素敵な小説だと思う

意味のないことをする必要はない、ただ意味を殺したい気持ちはする

ジョルジュ・バタイユの『青空』、確か大学一年の時に、天沢退二郎訳だから買った
そういえば荒正人の『思想の流れ』には、いつまでも真面目な君、というソンタグの言葉がよく似合う
チェーザレ・パヴェーゼの『美しい夏』は先輩がいいって言うから買った、そういう本は捨てられないな

ただ不必要な質量を備えた書物に対して、限られた時間で出来ることはこうして名を連ねることだけだろうか