今年の夏は花火を見なかった。どうしてだろう。
恋は遠い日の花火ではない、は素敵なコピーだし、頷ける内容だけれど、否定の形でしか語れない点を、僕は悲しいと思う。
いつだってつかみ損なってしまう。そしてそんなことが続くと、自分を愛することすら忘れてしまう。
生々しい舞台を離れて、抽象的な台詞を口ずさむことも嫌になった。
物語に興味が持てず、「詩」しか好きになれないことが、僕の敗北感の原因かもしれない。
本当につらい、本当につらい、と呟く日々が待っているのかもしれないけれど、それはこれまでとは違う、成功と失敗の繰り返しとは違う、新しいことに辿り着くための手段だと思うから。
生々しい舞台に戻り、言葉を忘れて汗をかきたい。