私たちがまだ小さかった頃、夜中にベッドにもぐりこんで、呼吸の数を数えてたことがあったわね、これから100年生きて、一体何回こんなこと繰り返すんだろうって思ったら、突然息が吐けなくなって、背中がすっと冷たくなったこと、覚えてるかしら。
それがはじめて体験した、私たちの時間だったと思うの。
今ならわかるわ、息を吸って吐くまでの、瞬きの間に、全てのことは起こってしまうって。
私たちがそのことに気がついたのは、ずいぶん遅かったわね、未熟だったのかしら。でもあの頃は、人生が永遠に続くと思ってた。だから代わりに、唄を覚えたの。
本当に息を吸って吐くように唄うことなんて、彼にしか出来ないけれど、皆がそう憧れて、失敗を繰り返してきたこと、話すことは出来ると思う。そんなこともあったねって、いつかあなたに会ったらそう言って、笑ってくれるかしら。