2009年2月5日木曜日

Hair do



ある日思い立って髪を切った。
厄払いだったり気分転換だったり逃避だったりの意味合いもあるんやけど、髪をきちんとしておくという行為には、
ジョン・ウォーターズが雑誌のインタビューで言ってた「髪をブリーチして微笑みを忘れずに」という言葉をよく思い出す。
これは「宇宙人にあったら人間のことをなんて説明しますか?」という質問に対する答えじゃなかったっけ。
よく覚えてないけれど。
それから部屋の模様替えをした。
本棚や冷蔵庫や楽器を動かして部屋全体の雰囲気を変えた、というか自分がいる空間を固定できるような場所にした。
いつも部屋中を動き回って一つの作業に集中できないことが多いので、そういった習慣を変えるためだ。

結局の話、音楽でも小説でも、嫌いなものの方が多い。
もっといえばつまらないものの方が多い。
本当だろうか?実は僕がつまらないだけなのかもしれない、
とも思うけれど、いやそんなことはないだろう、という結論にたいてい落ち着く。
だからつまらないものを生産している場に行くと気分がいらだってしまう。
僕がこの分野で勉強を続けていきたいのは、そこは本来もっと実り豊かな場所なのに、
あまりにつまらない言説が再生産されているからだろう。というか、間違ったことばかり言っている。
さらにいえば、世界が間違っている。いやそうじゃない、世界に関する一般的な認識が間違っている。
ということは、僕の認識も間違うことが多くなってしまうので困ってしまう。
だから、もっともっと正しくて豊かな理解をするために、この勉強を続けなくてはいけないんだ、
と昔はよく思っていたけれど最近は忘れがちだったのでここに書いておこう。

冷戦時代と言えばつい20年前の話なのに、もう昭和を飛び越えて江戸時代の話のように聞こえてしまう2009年だけれど、
僕も先週のことがまるで遠い過去に思えてくる。部屋掃除しながら昔買った雑誌を読み返してみたら、そこにのってる作家の言葉がどこか楽観的に見えてしょうがなかった。
最近は何を見てもそうだけれど。ただ言っていることは素晴らしい。
「僕は子供が親を殺しに行く小説を考えたことがあって、でも子供が親を殺しに行く時は明るい気持ちで殺しにいってほしいんだ。結局そうならなかったんでその小説は書けなかった」
これは矢作俊彦の言葉。
それから村上龍の特集本で橋本治が書いていたのでちょっと読んでみたら「69」をほめていたので嬉しくなった。
やはり彼は違いの分かる男だ。ほめ方も面白い。つまり村上龍は金の意味が分かっている、金の意味が分かって書いた青春小説の「69」はだから面白い、ということらしい。
「金はそれまでの歴史の一切を無効にしてしまう力を持っている。だから平気で、貧しいだけの青春を豊かに書けるんだ」
たぶんこの言葉が書かれたのは89年だと思う。違うかもしれないが。今この言葉は意味を持つだろうか。
とにかく僕は金がない。だからもっと頭がよくならなければいけない。これも勉強を続けなければいけない理由だ。

そう先週は女の子に誘われて演劇を見に行ってそばを食べて日本酒を飲んだ。
肝心の演劇が気に入らなくて僕は何だか気分が悪かったんだけれど、批評家ぶってそんなこと言うのは蕎麦と酒と女の子にみっともない気もしたので確かムーン・リバーについて話をした。でもつい「さっきの劇には問題があるよね」って言うと、その子も「私もそう思います」というのでその後は劇について悪口を言い合った。
そうだ批評なんかじゃなくて僕たちはもっと悪口を言わなければいけない、元気な女の子と一緒に。

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